よくわかる!自動車保険を選ぶ際の注意点


Home  > ちしき  > 自動車事故の法律知識

この見出しのイメージ図

自動車事故の法律知識

自動車事故の当事者になってしまった場合に、法律でどのように守られるのか、法律でどのような責任を課されるのか、予備知識があればなんとなく筋道が見えて、知らないことから来る不安をやわらげられると思います。

加害者に課せられる責任

  1. 民事上の責任(民法・自賠法)

    人身事故、建造物損壊事故、物損事故の全てに損害賠償責任が発生します。

  2. 行政上の責任(道路交通法)

    人身事故と建造物損壊事故が運転免許に関する行政処分(取り消し、停止など)の対象です。これら以外の物損事故は処分の対象外です。

  3. 刑事上の責任(刑法・道路交通法)

    人身事故と建造物損壊事故が刑事罰の対象になります。これら以外の過失による物損事故は処罰の対象外です。

以下、自動車保険に関わりのある民事上の責任についての知識になります。

民事上の責任 (損害賠償責任)

人身損害と物損とで関係する法律が違い損害賠償に関する内容も違います。

1.人身事故の場合

(1)根拠法令

自動車の人身事故に関する法律は、自動車損害賠償保障法(自賠法)が適用されます。自賠法で決められていない事柄は民法の適用を受けます。

(2)損害賠償責任の発生と自賠責保険の加入義務

自賠法は被害者救済のための法律で、被害者に損害賠償金が確実に支払われる仕組みを作っています。まず加害者に無過失責任に近い形で損害賠償責任を負わせています。次に、自賠責保険を強制保険にしてそこから損害賠償金が支払われる仕組みを作っています

  • 自動車側に無過失責任に近い形で損害賠償責任を負わせる根拠

    自賠法第3条を要約すると「自動車事故で他人を死傷(けが・後遺障害・死亡)させた自動車の運行供用者には損害賠償責任がある。運行供用者は、但し書きにある3要件(自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと、自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたこと)を立証できない限りその責任を免れることは出来ない。」としています。

  • 損害賠償金が支払われる仕組み

    自賠法第5条を要約すると「「原付自転車を含むすべての自動車は、自賠責保険を付けていないと運行してはいけない。」ということです。なお、国その他の政令で定める用途に用いられる自動車や道路以外の場所のみで用いられる自動車は、自賠責保険の適用除外車となっています。(自衛隊の車、構内専用車、田植機等)

自賠法により人身事故の被害者には、自賠責保険から保険金がでる仕組みとなっています。しかし、強制加入の自賠責保険でも保険の期限切れを知らずに運転する人、または違反を承知で運転する人もいます。事故を起こしたまま逃げてしまうひき逃げもあります。このような場合には自賠責保険を使うことが出来ませんが、このような事を想定して自賠法の中で、政府の自動車損害賠償保障事業を定めて被害者を救済しています。なお、これの支払い限度額は自賠責保険と同じです。

2.物損事故の場合

(1)根拠法令

自動車事故の物損(物の損壊)に関する法律は、民法の不法行為の規定が適用されます。

(2)不法行為による損害賠償

民法709条で不法行為による損害賠償について定めており、その要約は、故意又は過失によって他人の権利や利益を侵した者に損害賠償責任を負わせるというものです。

自賠法の損害賠償責任と大きく違う点があります。自賠法では自動車の運行による死傷の事実だけで損害賠償責任を発生させています。民法では、故意・過失がある場合に限り損害賠償責任を発生させています。しかも、故意・過失を被害者が証明しなければなりません。

物損に関しては自賠責保険はノータッチです。もっぱら、任意加入の自動車保険に頼らざるを得ない部分です。


3.損害賠償額の減額

損害賠償額が減額される要因は、主に次の3種類です。

  • (1) 過失相殺

    過失相殺は、民法で規定されています。事故の原因に被害者の過失もあるときは、被害者の過失相当分が損害賠償額から差し引かれます。なお、自賠責保険に限っては被害者に重大な過失が無い限り過失割合で相殺されることはありません。

  • (2) 好意同乗・無償同乗

    好意同乗・無償同乗は、法律で規定されていません。裁判ではケースごとに判断が分かれるようです。運転者の好意で同乗していた者が事故で死傷した場合、運転者が払うべき損害賠償額が減額されることがあります。ただし、近年の判例では被害者にも相応の落ち度(飲酒運転を知っていて乗ったとか疲労困憊しているのが分かる状況なのに運転を継続させたなど)がある場合に減額されているようです。

  • (3) 素因減額

    素因減額は、そのケースにより民法の過失相殺を類推して適用されるようです。被害者が元々もっていた障害や疾病等が原因で人身損害が大きくなった場合に損害賠償額が減額される場合があります。また、治療をちゃんとしなかった為に悪化した場合も同様です。因果関係や程度の個人差など複雑な要素が絡むので一律的に減額されるべきものではないようです。

4.解決方法

損害賠償の解決方法には、示談、調停、訴訟があります。

  • 示談

    裁判所が関与することなく当事者間で話し合って解決方法を決めることが示談で、示談が成立すれば和解契約となります。後から特段の新たな事実が出てこない限り話の蒸し返しは出来ません。修理が完了し治療が完了しない限り損害額が確定しませんから、示談は確定後にするべきものです。

  • 調停

    調停は、手続きが簡単で費用も安く済みますが不調に終わることも多いようです。裁判所で調停委員同席のもと解決を目指しますが、強制力のない調停で訴訟したのと同じような結果を出すのは難しいようです。両者の合意が得られなければ調停不成立となります。

  • 訴訟

    示談や調停での解決が困難であれば訴訟を行うことになります。交通事故に関する法律や実務に精通していれば本人だけでも提訴できますが、通常は弁護士を代理人に立てますから費用がかかります。法テラスの法律扶助制度などを利用することで金銭負担が減少します。
    なお、自動車保険に弁護士等費用補償特約が付いていれば訴訟費用が300万円位まで出る可能性があります。

5.時効

損害賠償請求権の時効

  • 事故発生時点(損害及び加害者を知った時)から3年です。
  • 加害者が不明な場合は、20年で時効となります。

保険金請求権の時効

  • 起算点から2年です。
    • 自賠責保険の加害者請求の起算点は賠償金を支払った時です。
    • 自賠責保険の被害者請求の起算点は事故発生時点(損害及び加害者を知った時)です。
    • 任意保険の対人賠償保険、対物賠償保険の起算点は示談や判決により損害賠償額が確定した時です。